アポロンの恋愛遍歴

アポロンは知・技・体のすべてを兼ね備えた理想の神で、音楽、詩歌、医術、弓矢の名手でもありました。まばゆいばかりに美しく、「光明の神」とも呼ばれ、女神や人間の女性たちからキャーキャーと騒がれるアイドル的存在。予言の神様でもあったことから、戦争の際にも王たちから頼られ、彼の信託は政治を動かしていました。

才能ある美男子によくありがちなことに傲慢な面もありました。プリュギアのミダス王の前で、牧神パンと笛の競演をした時に、ミダス王がパンを勝者としたことに腹を立て、王の耳を「ロバの耳」に変えてしまいます。これが有名な「王様の耳はロバの耳」という物語になります。

何でもうまくやってしまうアポロンですが、悲恋に泣いたことも幾度もあります。

ダフネとの悲しい恋

アポロンはオリュンポス一の美男子のため、数多くの浮名を流しました。しかし、愛の神エロスをからかったために、いたずらにあいます。エロスはアポロンに「恋心をかき立てる矢」を射ち、川の神ペネイオスの娘ダフネには「恋心を去らせる矢」を射ちました。おかげで、アポロンがいくらダフネを追いかけてもダフネは逃げるばかり。逃げても逃げても追いかけてくるアポロンに、逃げきれないと思ったダフネは、父に助けを求めました。

すると、ダフネの体は一瞬にして月桂樹に変わってしまいます。失意のアポロンは樹に変わってしまったダフネに自分の聖樹になって欲しいと頼み、ダフネは枝を揺らして答えました。

アポロンは、人間の女性マルペッサにも恋をします。しかし、人間の中でもっとも強い男イダスもマルペッサを狙っていました。二股をかけて楽しむマルペッサに、どちらかを選ぶようにと仲裁者ゼウスが迫ると、マルペッサは人間イダスを選びました。「自分が年老いたときに、いつまでも老いないアポロンに捨てられたくない」というのがその理由でした。

美男子とのホモセックスも経験

アポロンは男性とも付き合いました。中でも最高の美男子ヒュアキントスは、誰よりも愛した少年です。西風の神ゼピュロスもヒュアキントスに好意を寄せていましたが、ヒュアキントスは見向きもしません。ある日、アポロンとヒュアキントスが円盤投げで遊んでいるとき、西風の神ゼピュロスは二人の楽しげな様子に嫉妬して風を吹かせました。

すると、アポロンの投げた円盤がヒュアキントスの額に命中し、彼は死んでしまいます。そうして、額から流れ出た血は大地に美しい紺色の花を咲かせました。この花はヒュアキントス(ヒアシンス)と呼ばれるようになりました。

美しく才能豊かな神であったアポロンには、悲しい恋の数々もありました。