処女で身ごもったアテナ

美しい女性がいれば、セックスしないではいられない大神ゼウスの最初の妻は、思慮の神メティスでした。しかし、予言によって「メティスからはゼウスに代わる支配者が生まれる」と知らされていたため、メティスが妊娠すると、わが子を身ごもったままの妻を飲み込んでしまいました。

メティスは思慮の女神だったため、このときにゼウスには支配者にふさわしい思慮が身に付きます。妻を飲み込んだのは良かったのですが、その後月満ちた晩に、ゼウスの頭から女神アテナが飛び出しました。アテナは、メティスの才能を引き継ぎ、知恵と戦いの女神となります。

勇者を助け、日常生活の知恵を授けた女神

アテナはゼウスの頭から誕生したときに、すでに甲冑を身に付けヤリと盾をもっていました。戦いの凶暴さを好むのではなく、正義を追求し、戦術や戦略をつかさどる知的な女神です。ヘラクレス、ペルセウス、オデュッセウスなどの英雄たちが、冒険や戦いに勝利したのは、アテナの援助があったからです。

アテナは戦いだけではなく、日常生活のさまざまな事柄にも関与しました。糸紡ぎや織物、建築や彫刻、造船などの技術を与えて、人間たちを救いました。

処女なのに母親になった女神

ギリシア神話の女神たちは、恋愛を楽しみいろんな神々と交わりますが、アテナだけは別。生涯一度も恋愛をせず処女を守り通しました。とはいえ、美の女神アフロディテと争うほどの美貌の持ち主ですので、男性たちが放っておきません。次々と言い寄られますが、断り続けます。

いいよってきた中にゼウスの息子ヘパイストスもいました。アテナもゼウスの娘ですので、ふたりは異母姉弟です。ヘパイストスは醜男のため母親から捨てられましたが、母に復讐したことがきっかけで美女アフロディーテと結婚していましたが、夫婦関係は冷え切っていました。性欲が溜まっていたため、ある日アテナを我がものにしようと襲いかかります。

強姦されそうになったアテナは必死に抵抗したため、ヘパイストスは挿入前に射精してしまいました。その精液がアテナの脚にかかったため、それを羊毛でぬぐってアテナが地面に叩きつけると、大地から男児が誕生しました。アテナは我が子にエリクトニオスと名づけ育てました。この子は、後にアテナイの王となります。アテナがアテナイ(現在のアテネ)の女神として、パルテノン神殿に祀られているのは、こうした経緯があるからです。

ゼウスの頭から生まれたアテナは、異母弟のヘパイストスの精液をかけられ、息子エリクトニオスの母となります。生涯処女を守り通した母です。