母の一言が娘を窮地に!カシオペアとアンドロメダ

もう一つ、ギリシア神話の中の有名な母子を紹介しましょう。
こちらは、母の傲慢で娘が犠牲になりかけたというもの。
英雄物語の典型ともされる、ペルセウスと妻アンドロメダ、そしてその母カシオペアの話です。

人間の傲慢を許さない神々

エチオピアの王妃カシオペアは、つねづね自分の美貌を鼻にかけていました。
しかしある時、「ネーレーイスたちよりも美しい」と口にしてしまったことから、その怒りを買うことになってしまいます。
ネーレーイスとは、オリンポス12神以前の神々、ポントスとガイアの息子・ネーレウスの娘たちで、その数は50人とも100人とも言われています。 いわば海の女神たちのようなもの。実際、海神ポセイドーンの妻アンピトリーテーはネーレーイスたちの一人です。 そんな彼女たちを貶めるようなことを言ったのですから、神罰が下されたとしても不思議ではありませんね。
ネーレーイスたちの訴えを聞きいれたポセイドーンは、怪物ケートスにエチオピアを襲わせました。
そして、ケートスを鎮めるための生贄として選ばれたのがカシオペアの娘アンドロメダだったのです。

アンドロメダを救ったのは?

カシオペアが自慢したのは自らではなく、アンドロメダだったという説もあるほど、その美しさは際立っていました。
父王ケーペウスはそんな掌中の玉とも言うべき娘を怪物の餌として犠牲にしなくてはならないと知ってひどく落胆し、悩みましたが国と民のためとあれば拒否することはできません。 泣く泣くアンドロメダを海岸の岩に縛りつけ、神々の許しを請うことにしたのです。
ところがそこへ救世主が現れました。
これまた怪物であるメドゥーサを退治し、その首を収めた袋を持って帰国の途にあったペルセウスです。
一説ではこの時、メドゥーサの血から生まれた天馬・ペーガソスに乗っており、上空から岩に繋がれたアンドロメダに一目惚れしたということになっています。 ペルセウスは岩場に降り立つとアンドロメダの鎖を断ち切って自由にしてやりました。
そして、怪物ケートスが現れるとメドゥーサの首を取り出して岩に変えてしまったのです。
アンドロメダはもちろん、ケフェウスとカシオペアが喜んだことは言うまでもありません。
ペルセウスはそのままアンドロメダを妻として故郷に連れ帰り、母ダナエーとともにアルゴスに凱旋帰国しました。
ちなみに、ペルセウスとアンドロメダを始め、ケーペウス(ケフェウス座)、カシオペア、そして怪物ケートス(クジラ座)までが死後天に上げられ星座になっていますが、カシオペアだけはその高慢を戒めるために椅子に逆さ吊りの形にされています。

アンドロメダ型神話と呼ばれる物語

英雄が美女を救い出すタイプの神話は世界中にありますが、それらを総称して「アンドロメダ型神話」と言います。
日本にもスサノオがヤマタノオロチを退治してクシナダヒメを救い出し、妻にしていますよね。
神話だけでなく、古今東西の物語にこのスタイルが取り入れられているのは、やはりドラマチックであるからでしょう。シンデレラや白雪姫といったおなじみの物語も、「アンドロメダ型神話」の一パターンと言えるかもしれませんね。
実際、絵画や楽曲の題材としてもしばしば取り上げられています。