ヨーロッパの語源!?牡牛に連れ去られたエウロペ

ゼウスと言えば、いろいろな動物に変身しては気に入った女性をさらうのが得意です。彼は神々だけでなく地上の美女たちにも何度か手を出しており、中には王女や貴族といった高い身分の人たちが少なからずいます。

エウロペも例にもれずフェニキアという国の王女でした。ですが、彼女が他の人物と違うのは、めずらしくヘラの怒りに触れなかったことです。さらにゼウスからいくつもの贈り物をされるなど、数少ない恵まれた浮気相手でした。

バレずに浮気をするために牡牛になったゼウスと出会うエウロペ

エウロペは、古代の地中海東岸に位置していたフェニキアという国の王女とされる人物です。アルゴスの古王伝説にも登場する王アゲノルと、海神ポセイドンとのあいだにも子を成したといわれる女性テレパッサの子でした。

彼女はたいそう美しい姫だったため、海辺で遊んでいる姿を偶然に見たゼウスは夢中になってしまいます。しかし何度も失敗して懲りたのか、すぐに会いに行こうとはせず、彼はどうすれば正妻にバレずに済むか考えました。

そして妻ヘラの目を盗んで会うために導きだした結論は「牡牛になって会いに行く」だったそうです。他の逸話を知っていると、あまり賢い手段とは思えませんが、今回は運がよかったらしく見つからずにエウロペに会えます。

背にのったエウロペを一瞬で遠くまで連れ去った!?

海辺にいる牛の群れにまじって、美しい牡牛になったゼウスが通りがかると、彼を見つけたエウロペは「なんて美しい」と感動して近づきました。そしておとなしいことを確認すると、牡牛の背に乗るなどして遊びます。

彼女が背に乗ったのをチャンスと捉えたゼウスは、突然沖に向かって猛烈な速度で泳ぎだしました。当然エウロペはしがみつくことしかできず、気づいた時にはクレタ島に、正体を現したゼウスと一緒にいたそうです。

そしてゼウスの計画通り、ヘラにバレることなくエウロペと交わることに成功します。彼女はミノスをはじめとする3人の子どもだけでなく、3つの贈り物も授かりました。そしてなんの罰を受けることもなく、無事だったそうです。

エウロペの息子は実在する!?クレタ島から見つかった王の名前

なんの災難にも会わなかったことから、エウロペはゼウスの浮気相手の中では幸運な人物と言えるでしょう。また、「牡牛となったゼウスが彼女を乗せ泳ぎだした」時、彼らはヨーロッパ中を駆け回ったと言われています。

勘のいい方はお気づきかもしれませんが、「ヨーロッパ」という言葉はこの逸話からきており、エウロペがヨーロッパの語源です。さらに、彼女と別れる時に牡牛の姿となって帰ったゼウスの姿が「おうし座」になったと言われています。

他に、彼女の子であるミノスが、近年クレタ島の宮殿遺跡にあった碑文の中に名前があったことから、実在していた人物であるという話があるそうです。神話的にも歴史的に恵まれた、まさに「幸福」と言える人物でしょう。