とばっちりを受けた水瓶座の王子ガニュメデス

ギリシア神話の最高神であるゼウスの性欲はとどまるところを知らず、性の対象は女性に限りませんでした。彼は美しい見た目であれば男性さえも手をつけ、結果として相手はたいていヘラに手ひどい仕打ちを受けることになります。

トロイアの王子ガニュメデスも例外ではなく、不幸な犠牲者のひとりとなりました。しかも被害を受けた理由が、はたから見れば完全な八つ当たりと言えるものであり、数ある逸話の中でもかなり哀れなものと言えます。

女性と見まごうほどの美しさが、悲劇の原因となった

トロイアの王子ガニュメデスは、ギリシア神話に出てくる人物の中でも特に美しいとされる少年です。もちろん、絶世の美少年とも言える彼を性欲旺盛なゼウスが放っておくわけもなく、さっそく目をつけます。

思い立ったら即行動のゼウスはみずからをワシの姿に変え、ガニュメデスを天界に連れ去り、自分にお酌をさせる役目に任じました。むりやり連れてこられた彼は命じられるままお酒を注ぐのですが、問題が起こります。

そもそも上記のお酌をする役は、ゼウスの正妻ヘラの娘であるヘベという人物がするはずのことでした。しかし彼女がある時、うたげの席でかなり恥ずかしい転び方をしたため、失態を許させなかったゼウスが解任したそうです。

愛娘の解雇がガニュメデスに怒った理由?

「皆の前で恥ずかしい姿をさらし父に恥をかかせた」という、一応の理由はあるのですが、ヘベを娘の中でも特にかわいがっていたヘラからして見れば、愛娘の仕事をどこの誰とも知らない少年にとられたと映ったのでしょう。

先に補足しておきますと、現在の価値観から見ると「給仕係」というのは大した仕事に思えないかもしれません。しかし最高神のお酌をし、宴のホステスをつとめるという役割はなかなかに名誉な仕事だそうです。

上記のことを踏まえると、ヘラが怒ったのもうなずけるかもしれません。いくら恥をかかせたとは言え、実の娘をクビにして浮気相手の少年を後釜にすえたのですから当然です。しかし、ヘラの怒りの矛先はゼウス本人には向きません。

毎度怒ってばかりに見えて、実は深い愛情を感じさせるヘラ

我慢ならなかった正妻が考えたのは、ガニュメデスを殺すことでした。どうにかして阻止したいと思ったゼウスは、考え抜いたすえ彼を天に上げ星座にします。これが現在も十二星座のひとつとして有名な水瓶座だそうです。

一見ヘラはひどい人物に見えますが、見方を変えれば夫を愛していたからこそ本人に罰をくだせなかった女性とも考えられます。もしかするとゼウスの浮気癖やとどまることを知らない性欲の強さも魅力的に感じていたかもしれません。

確かに、すべての神々の中で一番年長者で偉く、さらに絶倫とくれば、女性にとっては最高の相手でしょう。