絶世の美女ヘレネの不倫

ヘレネの母親はスパルタ王の妻レダ。しかし父親は王ではありません。以前からレダに目をつけていたゼウスが、素っ裸で水浴びをしているレダに、白鳥に化けて近づき油断をさせて、そのまま性交してできた娘。レダはゼウスとセックスしてすぐに、夫とも交わったために、二人の男性の子どもを同時に妊娠します。ゼウスの子どもは女児ヘレネと男児ポリュデウケス、夫の子どもは、女児クリュタイメストラと男児カストールと名付けられました。

ヘレネは幼い頃から美人と評判で多くの男性の憧れのマドンナ。そのため、10才のときにアテナイ王子のテーセウスに誘拐されたりもしました。求婚者が殺到し、男たちの争いが激しくなったため、仲裁に入ったオデュッセウスが全求婚者に「誰が選ばれても恨みっこなしで、祝福する」と同意させたといういきさつがあります。こうして選ばれたのが、強国ミュケナイの王子メネラオスでした。

女神たちの美女コンテスト

ある日、海の女神テティスとペレウスの結婚式でのこと。二人の結婚式にはすべての神々が招待されていましたが、争いの女神エリスだけは招かれませんでした。怒ったエリスは、結婚式の邪魔をするため「いちばん美しい女神へ」と書かれた黄金のりんごを式場に投げ入れます。

それを見た女神たちが言い争いを始めます。ゼウスの妻ヘラ、知恵と戦いの女神アテナ、愛と美の女神アフロディーテの3女神は、いずれも自分が一番だと主張し譲りません。そこで、ゼウスが公正な判断を求められますが、もめごとに巻き込まれるのを嫌ったゼウスは、トロイアの王子パリスに選ばせると宣言します。

贈り物がトロイア戦争の火種

3女神はトロイアを訪ね、パリスのもとに降り立ちました。それぞれの女神は自分の美貌に絶対的な自信を持っていましたが、ことを有利に運ぼうとパリスに贈り物を約束します。それぞれの提案は、とても魅力的だったため、王子パリスは3女神の誰が一番美しいかではなく、どのプレゼントが一番嬉しいかで勝者を選ぶことにしてしまいます。

結局パリスが選んだのは、愛と美の女神アフロディーテ。彼女のプレゼントは「地上で最も美しい女性を与える」という約束でした。このとき一番美しかった女性は、すでに人妻のヘレネ。ミュケナイの王子メネラオスの妻となっていました。

アフロディーテの魔力のおかげで、パリスは人妻ヘレネをあっという間に口説き落とし、ミュケナイ国から奪い取って、自分の国トロイアに連れ帰ります。これが、有名な「トロイア戦争」のきっかけとなりました。

絶世の美女ヘレネの不倫は、美女コンテストの末のプレゼントにされたことから始まり、これが戦争の発端ともなってしまいました。