夫の不倫は許さない!浮気相手への嫉妬がすごいヘラ

いつの時代も浮気性の夫を持つ女性は苦労が絶えないものです。全知全能の神ゼウスの妻ヘラも同じですが、彼女の場合はただ旦那の行為に泣き寝入りするような女性ではありません。浮気相手へと徹底的な仕返しをおこなっています。

人間に不幸をもたらすのは序の口で、動物に変えた浮気相手をその実の息子に殺させたり、星座になったあとでも呪いをかけたりと容赦がありません。まさに「きれいなバラには棘がある」を地でいく女神です。

別の女性に優秀な子が生まれるのは許さない!レトにした仕打ち

ヘラは「結婚の神」とも言われ、母性や定説をつかさどる女神です。ローマ神話のユノとも同一視され「ジューンブライド」の語源にもなった存在ですが、彼女の性格は「母性」にはほど遠く、相手への仕返しは徹底的におこないます。

例えば、ゼウスが浮気した相手のひとりにレトという女神がいたのですが、彼女がみごもった双子は「神々で一番輝かしくなる」と予言されました。予言を耳にしたヘラは怒り、出産するための土地を与えてはならないと命令します。

さらにとどめとばかりに、ヘラは自分の子である出産の神エイレイテュイアがレトのもとに行かないよう妨害しました。結局様々な苦労の末、子どもは無事生まれます。誕生した双子はかの有名なアポロンとアルテミスです。

浮気相手は焼き殺す!?セメレをはめた巧妙な話術

他に、セメレという王女にゼウスが人の姿になって浮気していた時の逸話もあります。ゼウスは王女のもとに毎夜かよい、当然子を成したのですがヘラにもバレていました。面白くない彼女は、ある日セメレのもとをおとずれます。

そして「あなたのもとに来ているのは、もしかするとゼウス様の名をかたる化け物かもしれません」と告げました。さらに確認のために本当の姿を見せてもらえるよう、今度お願いしてみてはどうかとセメレに言います。

彼女は「それもそうだ」と納得してしまい、ゼウスに本当の姿を見せてもらいますが彼は天空神、とりわけ雷をつかさどる存在です。ですから真の姿を見たセメレはヘラの思惑どおり、雷光に焼かれて死んでしまいました。

母性のみだけではなく、女性の激情をもよく表していた女神

以上、ヘラの嫉妬話について述べてきましたが、上記はほんの一部に過ぎません。他にも人妻の子ヘラクレスを赤ん坊のころに殺そうとしたり、ゼウスが妻にバレないよう牡牛に変えた女性をあぶを使って追いまわしたりしています。

普段は清楚で美しい女神なのですが、一度嫉妬の炎に火がつくとブレーキがきかなくなるあたり、女性の激情をよく表しているとも言えるでしょう。ただ、はっきり言ってゼウスの浮気癖がひどいため、彼女が一方的に悪いとも言えません。

ヘラとは古いギリシア語で「貴婦人」や「女主人」という意味合いの言葉ですから、もしかすると古代ギリシアの理想の女性像だった可能性もあります。多少怖くても貞節ある女性が、ギリシア人には好まれたのかもしれません。