後に悪魔のモデルにもなった神、パン

ギリシア神話は紀元後にキリスト教が広まると次第に忘れられ、書物の中だけの話や昔話になっていきます。中にはキリスト教で語られる天使や悪魔のモデルにもなった神もいました。その1人がパンです。

山羊の脚に山羊の角を持つ牧神

彼は山羊の脚と角を持つ神でその姿から牧神、つまり羊飼いや羊の群れを監視する神でした。親には諸説ありますがゼウス、もしくはヘルメスが父親で母親はニュムペーもしくはニンフと呼ばれる女性の女神だと言われています。元々はパオーンという「牧夫」の意味をもつ言葉で呼ばれていましたがいつしか「全て」の意味をもつパンと呼ばれるようになったよいうです。

怪物に追い回され大失態

ちなみに彼はギリシア神話の中でも変わった失態を晒した神様でもあります。彼は山羊座の元になっている神様なのですが、山羊座は絵で表すと上半身が山羊で下半身は魚で表されます。これはギリシア神話の最強の怪物と言われたテュポーンが暴れまわった際に多くの神々は動物に姿を変えて逃げ回った話に由来しています。パンも同じように動物になって逃げようとしますが、恐怖心のあまりに上半身が山羊、下半身が魚という中途半端な姿になってしまったのです。これが山羊座の由来で、恐慌状態に陥ることをパニックというのパンに由来しています。ちなみにこの姿は海底から山の上までどこでも行ける姿だったため後に全てを意味する接頭語Panが生まれました。

性豪の神!

彼の神様の性質にはもう一つ側面があります。それが性豪の神です。これはその姿が山羊に由来しているもので、古くから山羊は多産のシンボルでした。その為女性との逸話も多く残っています。特にニンフたちとの話が多く、彼のシンボルの一つ、笛にまつわるものがあります。ある時、シューリンクスという処女神アルテミスの侍女に声をかけますが逃げられ追いかけ回し捕まえますが彼女は水のニンフに助けを求め、そのまま水辺に生える葦になったとい話があります。この葦を楽器にしたのがパーンパイプです。この他にもピュテスというニンフに惚れますが、逃げられ彼女は松の木になってしまったという話もあります。マイナスというワインと泥酔の神ディオニソスの信奉者の女性をたらしこむことには成功した用で乱痴気騒ぎを起こしたという話もあります。実際の人間はバイアグラのような薬でも使わないとこうは行きませんが、古代ギリシアや後のローマではその多産のシンボルとしての姿が信仰の対象にもなりました。

キリスト教社会では悪魔のモデルに

このように非常に性欲の強い好色の神として描かれ、時には陰茎を立たせた姿で描かれ、裸のニンフと戯れる姿で描かれることもありました。このような性格をしていたことから貞操観念の強いキリスト教社会ではいかがわしい存在として扱われ、また人でも動物でもない姿が悪魔のイメージになり、サタンの角や足の蹄はこのパンの姿から取られたものだと言われています。

ちなみにパンはギリシア神話の中で唯一死んだ神とも言われ、各時代の神話学者の中ではかなり古い自然神ではないかという見解もあり、パンという読みがサンスクリット語の凡てと同じ読みであることからインドの太陽神プーシャンがルーツとも言われます。