妊娠したのを「神」のせいにした姫がいた!?

キリストの母マリアはヴァージンなのに出産したとされています。イエスを妊娠した時には、ヨゼフという男性と婚約中でしたが、二人の間には性的関係がなかったのです。「結婚するまでは処女、童貞でいようね」と固く約束をしていたのでしょう。実に不思議で不可解な話ではありますが、神の仕業なのですから仕方がありません。処女であっても妊娠することはあるのでと信じる他ないのでしょう。本当はマリアが婚約者以外の男性としてしまったのではないか?といったゲスな勘繰りをする人もいるかも知れませんが、聖母マリアに限っては、そういうことを考えてはいけません。

これによく似た話が、わが国にも残されています。京都三大祭りで有名な上加茂神社。678年に作られたとされるこの神社は、正式には賀茂別雷(かもわけいかづち)神社といい、雷の神様が祀(まつ)られています。この雷の神様というのは、実は、その母親がセックスしてもいないのにできてしまった子どもだと言われています。母親の知らないうちに神の子を宿されたという「神話」が伝わっています。聖母マリアとそっくりな母親が、わが国にもいたのです。

素っ裸で水浴びをしていたら…

京都の北部地域を支配していた賀茂氏の娘に、「かもたまよりひめのみこと」(賀茂玉依姫命:以下では、タマヨリ姫)という美しい少女がいました。タマヨリ姫は近くの小川で川遊びをするのが日課でしたが、いつも素っ裸です。ある日、いつものように、あられもない姿で遊んでいると、一本の矢が川上から流れてきます。珍しいと感じた姫は、それを自宅に持ち帰り、枕元に置いて寝たところ、矢に化けていた神様に貫かれて妊娠してしまいました。

まだセックスなどしたこともないのに、姫様は懐妊してしまったのです。生まれた子どもはとても元気に育つのですが、父親が誰なのか知りたいと思ったタマヨリ姫が自分の子に尋ねると、「私の父は天の神様です」と答え、その瞬間に雷鳴が鳴り響き、息子は天に上ってしまいました。突然息子を失った姫は哀しみにくれ毎晩泣いて過ごしますが、ある日、夢の中に息子が現れて「私に会いたければ神社を建てなさい」と告げました。こうしてできたのが、上加茂神社です。ウソだと思う人がいるでしょうけれど、本当の話です。処女なのに、妊娠したのです。

現代ならどうなるか?

疑り深い人はこんな風に想像するかも知れません。美しい少女が裸で川遊びをしていれば、男たちは放ってはおかないでしょう。毎日いろんな男が寄ってきて口説くはずです。バイアグラの必要な男性でないかぎり、皆カチンカチンに勃起しているはずです。中には強引に挿入してしまう者もいるでしょうし、そもそもそんな無防備な遊びをするということは、姫は淫乱な男好きであったとも考えられます。親に隠れて乱交していたと想像することもできるでしょう。

ふらちな男遊びを続けていれば、妊娠するのは当たり前。しかし、色んなペニスを受け入れてしまったために、誰が父親なのか分からない。親には貞淑な娘と思われているのに、今さら何本も食べてしまったことなど告白できません。ここはひとつ、「神様に犯された」という嘘でもつくしかない、とタマヨリは考えた。奔放な娘の作り話が神話になってしまった…、と。

「矢」は男根の象徴です。川上から流れてきた矢、というのは、ゆきずりの男を表しているのかも知れません。浅はかな娘がついた嘘のお陰で神が生まれた、とすれば愉快な話しです。