人形に性欲を抱いた!?理想の女性を作ったピュグマリオン

教育心理学で「ピグマリオン効果」という言葉があるのをご存知でしょうか。教師の期待によって生徒の成績が上がるということを表した専門用語なのですが、語源となったのはギリシア神話のピュグマリオンという人物の逸話です。

ピュグマリオンはキプロス島の王なのですが、彼はなんと自分が作った彫像の女性に恋をしました。そして次第に人間になることを願うようになり、最終的には自分の妻としてめとってしまうというとんでもない結末を迎えます。

女性不信のあまり人形に恋をした!?彫像を愛でた男

ギリシア神話にいるのは、浮気性の男性だけではありません。人形へと異常な性愛をそそぐ人物もいたそうです。それはキプロス島の王だったピュグマリオンで、彼はもともと女性を信じられない性格で長い間ひとり身でした。

ある時、象牙を材料にみずからの手で理想の女性像を彫ることにしたそうです。あまりのすばらしい出来に、彼は次第に乙女の像への恋心を募らせるようになります。そして像を思うあまり、服を彫り食事を用意するようになりました。

普通ならただの人形趣味で済んでしまう話ですが、神話ですからさらに続きがあります。あまりに像に執着するさまを見かねた、美の神アプロディテが彫像に命を与えたことで、本物の人間となった彫像と結婚することができました。

自分の作った彫像にキス!ギリシア神話の性欲対象の広さ

以上が一般に知られているピュグマリオンの話ですが、実は細かなところが違ういろいろなバージョンがあるようです。ピュグマリオンが王ではなく有名な彫刻家であったり、像がアプロディテをモデルに作られたものだったりします。

さらには女神が命を与えたのでなく、男がキスをしたことで本物の人間になるといった話や、像を人間にしたアプロディテに感謝したピュグマリオンが、生涯をかけて世界中の神殿に女神の像を祀った結末のものもあるそうです。

すべての話に共通しているのは主人公である男がすばらしく美しい彫像を掘り恋をしたことと、乙女の像の名前がガラテアであること、人間になったガラテアと結ばれたことの3点です。なんにしろ神話らしい話と言えるでしょう。

人形趣味の用語にもなってしまった!?名前の知名度がすごい

はじめに述べた「ピグマリオン効果」も思い込みや期待が相手に作用するという点で、神話と同じものと言えます。ある意味で純愛ともとれる話ではありますが、現代風に言えば「性的倒錯」であり、単なる人形趣味です。

事実「ピグマリオン・コンプレックス」という、人形に対する偏愛を意味する言葉もあります。現在では少しおかしいとされる性愛さえ大昔から認められているとは、ギリシア神話は底が知れません。

ただ、わざわざ逸話として残るだけでなく専門用語にもなったということは、ヨーロッパから見ても十分変わった行為ということでしょう。本物になったという結末からも、やはり性の相手は人間に限るということが読み取れます。